
気づいた時には、もう遅い──野球肘からこどもを守る
野球肘検診を始めたきっかけは何だったんですか?
「以前、野球を諦めちゃうこがいたんです。野球肘って、よく内側が痛くなるって言われてるんですけど、本当に怖いのはOCDっていう外側の野球肘なんですよ。全然投げれてるんです。でもいつの間にか『肘が痛い』って言い出して、もう変形が進んでしまうと野球ができない状態になってしまう。手術してもなかなか可動域が獲得できなくて、野球を諦めちゃう」
成長期のこどもは、骨よりも人体や筋肉の方が強いため、投球を繰り返すことで骨が剥がれたり変形したりしてしまいます。
レントゲンでは見えない部分を、坂本さんは持ち運びできるエコーで発見しているんです。
それで、定期的に検診を行ってるんですね。
「そうです。今は島田市の六合野球少年団で、半年に一回定期的に検診をやってます。団員が50人ぐらいいる大きなチームで、監督さんも素晴らしくて、保護者の方も協力的。この間も全国大会に出場した、意識が高いチームなんです」
今年1月には、あしたか球場でプロ野球選手6名が参加する野球教室の中で、肘検診を担当しました。三塁ベンチの中に入って、多数の参加児を検査。検診の様子やレポートは、接骨院のホームページのブログで公開し、保護者や地域への啓発を強化しています。
これからどうしていきたいですか?
「もっと広めたいですね。焼津でも一時やったことあるんですけど、一回きりで終わってるので、やっぱ定期的に繰り返したいなと。単発だと意味がないんで。同じ選手を小学6年生まで見れるっていうのが、やっぱり理想なんですよね」
「こどものロコモ」って知ってますか?──運動能力の低下
坂本さんの懸念は、野球肘だけではありません。
「野球だけじゃなくて、スポーツ全般。怪我をするべくしてしちゃうこっているんですよ。こどもの運動能力がちょっと低下してるんですよね」
昔は山で遊んだり、川で遊んだり、グラウンドで鬼ごっこや缶蹴り、草野球。そういう遊びの中で、自然に体幹が鍛えられ、運動能力が獲得できていました。
「骨折も、昔に比べると倍にも増えてるんです。スポーツテストの結果も年々下がっていて、過去最低みたいなニュースも出てました。
『こどものロコモ』っていう言葉、聞いたことありますか?」
ロコモティブシンドローム(ロコモ)は、本来は高齢者の運動機能が低下して転倒リスクが増える状態を指す言葉です。
それが今、こどもにも使われ始めているんです。
「お年寄りの病名みたいなものが、こどもにも使われるようになってる。それだけ運動能力が低下してるんです」
だからこそ、坂本さんは院内の運動スペースで運動指導も行っています。
「でも今のこって、すごい忙しいんですよ。習い事もあったりして、遊ぶ時間もなくて。集まろうっていうと、ゲームの中で集まるとか、オンラインで集まっちゃったりして、体を動かす機会が減ってると思うんです」
公園からは危ない遊具が撤去され、手を震わせながら高いところに登って体幹を鍛える──そんな経験も減っています。
「怪我を治すんじゃなくて、怪我しないようにしてあげたいっていうのが本当のところですね。そうすると商売にならないって言う人もいるんですけど」と笑いながら続けます。
「でもやっぱね、怪我すると悲しいし、好きなことできなくなるし。そうならないようにっていうところをしてあげたいなっていうのが、本音なんです」

毎週水曜の朝9時──高齢者への恩返し
坂本さんの地域への想いは、こどもだけでなく高齢者にも向けられています。
毎週水曜日の朝9時、接骨院では「焼津ころばん体操」が開催されています。
理学療法士が作った体操を、坂本さんが講師として教える──それも完全無料のボランティアで。
「去年の12月で丸1年になりました。毎週やってます」
何人ぐらい集まるんですか?
「今、32〜33人ぐらいですね。ほぼ女性。たくましいですよ」と笑います。
この活動を始めたきっかけは、地域への恩返しでした。
「長年ここ、もう30年になるんで、地域の皆様に恩返ししたいなって。
大覚寺にある福祉事務所に行って、『なんかそういうのできますか?』って聞いたら
『それならこういうのがあるよ』って紹介してもらって、『じゃあやりましょう』ってことで始めたんです」
目的は、転倒防止と介護予防。
「元気に暮らせるように。自立してね。ぴんぴんころり、みたいな」
自分の足で歩いて、行きたいところに行って、楽しいことができるように──そんな想いで、毎週続けています。
「地域の人がね、元気でいてくれたら嬉しいなって。我々、お医者さんじゃないからできることは限られてるけど、
自分らができる範囲で、皆さんの力になれればなっていうものを考えています」
なぜ「まる」に協賛したのか──人と人とのつながり
「みんなの公民館まる」に協賛していただいてる理由を教えてください。
坂本さんは少し考えてから、こう答えてくれました。
「土肥くん(トリナス代表)の、頑張ってる姿に、なんとかしてあげたいなって。まあできること、行動することはなかなかちょっとできないので、続く限りはね。土肥くんの理念とか、そういうところに共感したっていうのかな。あんまり深い理由はなく、まあ人と人とのつながりというか。そんな感じですね」
地域の未来をプロデュースする──その理念は、坂本さんと「まる」に共通するものです。

読者へのメッセージ──健康の三本柱
最後に、この新聞を読んでいる皆さんへのメッセージをお願いしました。
どういう風に生きてほしいですか?
「やっぱみんな健康でいたいと思うので、それがあって楽しいし、好きなこともできるんで。
健康の三本柱として、食べる、寝る、運動する。この3つがやっぱ大事なんです」
「食べる、寝るは多分できてると思うんだけど、やっぱ運動するってことができてない人が多いから。ここが一個崩れることによって、怪我のリスクとか、病気になるリスクも増えるので。なので、特に運動するってことを意識してもらいたいなと思います」
簡単に始められる運動ってありますか?
「ラジオ体操なんかはいいですね。全身を動かせるので」
「あとはウォーキング。お金もかからないし。健康をまず、そこから手っ取り早く始められるといいのかな。そこから欲が出たら、ちょっと軽くジョギングしたりみたいな、ちょっと運動負荷を上げていくっていうことがいいと思います」
坂本接骨院鍼灸院の挑戦は続く
「怪我を治す」から「怪我をしない体づくり」へ。
坂本さんの挑戦は、焼津という地域で静かに、でも確実に広がっています。
こどもたちが大好きな野球を諦めなくて済むように。高齢者が元気に自分の足で歩けるように。そして、地域のみんなが健康に生きられるように。
30年続く接骨院の挑戦です。
「地域の人が元気でいてくれたら嬉しいな」──そう笑顔で語る坂本さんの想いが、焼津の未来をプロデュースしています。
坂本接骨院鍼灸院
院長: 坂本素彦
理念: 「地域の皆様がいかに健康に生きるかをテーマに未来をプロデュース」
主な活動:
- 少年野球肘検診(島田市・六号野球少年団で半年に1回定期実施)
- 高齢者転倒予防クラス「焼津転ばん体操」(毎週水曜9時、無料)
- 子どもの怪我予防・運動指導
- オンリーワン整体(妊活サポート)
編集後記
坂本接骨院の理念は「地域の未来をつなげる」。その理念通りに、野球肘健診や高齢者対象の「ころばん体操」の無料実施、そして「まる」への協賛と、焼津の未来を本気で考えてくださる素敵な院長でした。「人と人とのつながり」の大切さを地域全体に広め、ケガのない社会を目指す姿に感動しました。
坂本さんが教えてくれた健康の三本柱──「食べる・寝る・運動する」。特に「運動する」って意識しないとできないことだなって、自分を振り返りました。みなさんも健康の三本柱を大切にして、元気に毎日を過ごしましょう!




